異方性球共振法(RST)は信頼性のある弾性率測定法として着実に発展しつつあり、他分野からも注目されはじめている。この方法を完成度の高いものとするためにはなおいくつかの関門をくぐらねばならないが、今年度中の達成度は以下の如くである。 (1)計算プログラムの開発・改良:新たに単斜晶系の弾性球の固有振動数を求めるプログラムを作成した。その振動変位分布を計算し、他晶系の球の振動様式と比較してそれらの間の同異を明らかにした。その際、固有振動数の計算方式を改良することにより計算時間の短縮に格段の進展をみた。 (2)測定装置の作成:測定系の改善の一環として、パソコン制御によるデ-タ採集法をさらに改良・推進し、共振振動数及び共振半値巾の測定をより能率的・客観的にできるようにした。試料高温装置については作成を経続中である。 (3)スピネル球での測定:合成スピネルで球形試料を作成し約1000Kまでの球共振振動数の測定を行った(愛媛大学・理学部)。約900Kでいくつかのモ-ドのf対Tデ-タに変曲点を見出し、2次相転移の存在を確認した。しかし測定振動数と計算固有振動数との間に、誤差を越えたくい違いがあり、試料結晶の検討を行っている。 (4)ジ形状パラメ-タの見積:前年度に得てある楕円体補正のための結果を逆用して、試料の形状パラメ-タの推定が可能なことを示した。
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