異方性球共振法(RST法)の実用化とその地球物質への応用を目指して、研究を進めて来た。この測定技術を完成されたものとするためには解決しなければならない様々な問題があった。この3年間の継続研究により基本的な問題を解決した。即ち、(1)等方体から斜方晶系までの対称性を持つものの測定を可能とした。(2)1000℃までの高温での共振振動数の測定を実現した。(3)100MPa(1Kbar)までの共振振動数の追跡が可能となり、弾性率の圧力係数を共振法により測定する道が開けたこと、などである。この測定方法をオリヴィン、ペリクレース、ルチル、スピネルなどの微小な球形試料に応用し、それらの物質の弾性率と内部摩擦を測定した。そのデータより弾性率と密度の間にC^<1J>=a+bρ、内部摩擦と弾性波速度の間logQ_<1J>^<-1>=c+dv^2の線形関係を見出した。ここに、a、b、c、dは定数である。これらの関係は地震学地球モデルと岩石学モデルとの対応を考える際に有用である。 またこの研究の延長上にあり、今後大きな進展が期待されるFT法を試み、実用化へのめどをつけた。
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