研究概要 |
本研究の目的は,地震活動や火山活動など地殻の変形・破壊に伴う電磁放射現象を解析し,地震予知や火山噴火予知への応用を探ることにある。その方法として、1985年以降高知大学理学部と米国スタンフォ-ド大学との国際共同観測により蓄積されたELF/VLF Radiometerによる自然電磁ノイズの連続観測記録を解析した。 過去5年間に日本周辺に発生した地震・火山噴火と異常電磁ノイズ記録との対応を調査した。地殻活動に先行する明瞭な前兆的電磁放射現象は見い出せなかったものの,地震動に同期した異常な電磁ノイズレベルの上昇が数例観測された。残念ながら,従来のRadiometer記録システムでは記録容量の点から電磁波の到来方向や波形特性についての情報が欠落していることが判明し,これを補う目的でDigital Audio Tapeを用いてELF帯電磁波形の連続記録システムを作成した。また,非接触型の新しい電位差測定システムとして,大型ステンレス球を用いた3成分観測用ボ-ルアンテナシステムを作成し,室内,屋外および浅海底で予備実験を行った。この新システムを世界的規模で作動させるため,南米ボリビア国サンアンドリアス大学にも設置した。 これらの作業と平行して,ホイッスラ-モ-ドと導波管モ-ドの電磁パルス波形の解析において様々なシミュレ-ションを行い,観測波形との比較を行った。特に,電離圏内における電磁波の伝播機構とその時間的変動について理論解釈を進めた。また,気象衛星「ひまわり」の画像記録を利用して,高知と磁気共役点であるオ-ストラリア北部の雷雲活動と電磁パルス発生頻度との対応を調査した。 以上の研究成果を各研究分担者が中心となって学術誌等に発表した。最後に,2年間の研究成果を研究成果報告書としてまとめた。
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