研究概要 |
研究の初年度にあたり,デ-タの収集とプログラムの開発に重点を置いた。具体的には,まず,近地地震に対する地震波のインバ-ジョンプログラムを作った。その際,地震記録の特性を生かし,広帯域の震源時空間関数を得ることに力点を置いた。 一方,防災科学技術研究所の広帯域地震計(STS地震計)で記録された地震について,震源の位置やメカニズム(微小地震観測網のデ-タを利用)を基に,デ-タを整理した。このうち,1990年8月5日の小田原地震(M5.1)については,本震だけでなく,前震,余震の記録もとれたので,この地震群について震源関数を系統的に調べた。 その中で,低い応力降下を伴った前震が本震の破壊を誘発したこと,余震の応力降下は,通常の場合と違って,本震の応力降下と同程度のままであることなどを見いだした。 また,記録の高ダイナミックレンジ性を生かして,本震の初動付近を拡大することにより,本震の初期破壊時に顕著な相を見い出した。そして,それが前震の破壊域と本震の主破壊とを結びつける引金的小破壊から出た波である可能性を指摘した。
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