研究課題/領域番号 |
02640314
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
増田 章 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (60091401)
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研究分担者 |
上原 克人 九州大学, 応用力学研究所, 助手 (80223494)
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キーワード | 深層循環 / 密度拡散 / 鉛直モード展開 / 深層西岸境界層 / 粘性型・拡散型 / 湧昇流・沈降流 / 海底地形 |
研究概要 |
本研究課題で進めてきた簡単化した深層循環模型は密度拡散を考慮しており、複雑な数値シミュレーションの結果をも簡明に説明することが判ってきた。本年度は最終第3年度であり、成果のとりまとめに重点を置いた。前年度までの結果を吟味し、一部追加計算実験を行い、包括的な理論構成を行った。具体的成果は以下のとおりである。 ・深層循環のモデルを表層循環へ応用した。日本海東鮮暖流の季節変化など表層海流の解釈に応用されつつあるが、密度拡散を考慮した本モデルと「渦位厚み項」の拡散という概念が、密度成層した海洋の循環を議論する際、極めて有用であることが判明してきた。 ・海山、海嶺、海溝、陸棚斜面の影響を調べてきたが、実験結果の定常性を吟味しその力学を検討した。局所的に簡単化した方程式系を用いて、内部境界層の挙動を詳しく調べた。従来の特性曲線法では分からなかった、「地衡線の島」内部の循環が明らかになった。 ・時間積分法で定常解を求める従来の方法は、計算時間がかかりすぎまた高次モードで分解能が悪いという問題があった。そこで、定常解を直接求める方法を開発した。この方法は、高精度で計算効率が良く、更に高次モードの境界層をも良く分解できた。 ・前年度の三次元数値実験の結果と高次鉛直モードの解の結果を基に鉛直構造を更に詳しく吟味した。赤道と東岸からの高次鉛直モードの減衰と鉛直構造があきらかになりつつある。本モデル高次モードの解は数値実験の高次モードと定性的振舞いが一致するが、定量的には食い違いがあり、更に吟味が必要である。 ・赤道域で局在する深層水源を与えると、拡散の効果により、松野-Gill模様により応答海域が広がる。 表・中・深層を包括した海洋循環像を構築することが今後の課題である。
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