平成3年6月までに50cmナスミス太陽追尾・集光システムの反射鏡4面の再メッキ、およびそのうちの2面の紫外用フッ化マグネシウムコ-ト化など光学系の改良を完了した。この結果信号雑音比は、再メッキ前に比べ約2倍向上し、測定に必要な信号積分時間は夏で10分、冬で40分程度と実用的段階に達した。またイメ-ジインテンシファイヤ部の冷却化を行い、結露防止のための窒素ガスパ-ジ系を併設したが、期待に反して信号雑音化の改良にはあまり寄与しなかった。 一方、老朽化しつつあった追尾システムの誤動作が頻発しはじめ、デ-タ取得が困難になったため、8月と9月に追尾システムの解体・修理を行い、ほぼ正常な状態に戻すことができた。この他、太陽ディスク東西端でのドップラ-側光を正確かつ敏速に交換するための補助光学系の製作を行った。この補助光学系の導入により、これまで追尾システムを用いて電気的に行ってきた太陽ディスク東西端でのドップラ-測光の精度が著しく向上し、かつデ-タ取得効率も良くなった。また光学系の感度ムラおよびその温度変化を較正するための重水素ランプ光源システムを製作した。 現在(平成4年2月)は、ほぼ順調にデ-タを蓄積しつつあり、平行して解析用ソフトウェアの改良を行っている。これまで観測的にはほとんど不明だった成層圏水酸分子の日変化および季節変化に関する知見を得ることにより、成層圏光化学の発展に寄与できるものと期待される。
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