研究課題/領域番号 |
02640328
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
佐藤 夏雄 国立極地研究所, 研究系, 教授 (50132709)
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研究分担者 |
宮岡 宏 国立極地研究所, 研究系, 助手 (10150046)
小野 高幸 国立極地研究所, 資料系, 助教授 (10141996)
山岸 久雄 国立極地研究所, 研究系, 助教授 (20132714)
江尻 全機 国立極地研究所, 情報科学センター, 教授 (30013692)
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キーワード | オ-ロラ / 電磁波動 / HF帯波動 / ULF帯波動 / 南極の昭和基地 / アイスランド / 地磁気共役点 / 太陽活動 |
研究概要 |
極域で観測される電磁波動は、オ-ロラや太陽活動に伴って発生する自然起源のものであり、人間活動の影響は全くないものと考えられていた。しかし、大都会や工場で消費される大電力によって放射されるさまざまな人工電磁エネルギ-が電離層で反射されたり、磁気圏に侵入したりして、本来は静穏である極域の電磁環境にまで影響を及ぼすことが近年少しずつ明らかになってきた。 本研究は、南極の昭和基地とその地磁気共役点であるアイスランドで同時観測された各種の電磁波動デ-タを用いることにより、自然起源と人間活動起源とを区別するとともに、それらの特性を明らかにすることを目的としている。昨年度はELF/VLF波動に注目したが、今年度はHF帯とULF帯に注目して統計的な解析を行なってきた。その結果、次のような特性が明らかになった。 (1)30メガヘルツのHF帯の日変化、季節変化から、日照のある日中及び夏季には、中・低緯度から人間活動と思われるノイズが極域まで伝わってきていることが明らかになった。さらに、そのノイズの週日依存性から、土曜日・日曜日に弱くなることもつきとめられた。また年変化特性から、太陽活動の影響も大きく受けており、太陽活動が活発な年ほど電離層反射により極域へ伝播するこも明らかになった。 (2)ULF帯の電磁波動は、日照の影響と太陽活動の影響を大きく受けることが統計的解析から明らかになった。しかし、人間活動の影響と考えられる特性は見出せなかった。この事実は、ULF波動はオ-ロラ活動起源が全てであり、人間活動に伴うULF波動は極域まで伝播しないことを示している。
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