研究概要 |
強誘電徳液晶における分子間相互作用を分子レベルで解明するために結晶構造と液晶挙動の関連を見いだし,結晶構造に反映した分子間相互作用が液晶挙動(相系列,各相の構造)をどのように規定しているか,以下のように明らかにした。 1)4'ーヘキシルオキシー4ービフェニリルpー[2ーメチルブチル〕ベンゾエ-トの2つの結晶多形が,それぞれ異る液晶相(Sm^*C,Sm^*J)に関連づけられることを明らかにし,その構造を解析した。その結果,前者では,隣接分子間のフェニル基が60°程度の角度をなしてジグザグに配列しているのに対し,後者では,平行に近い配列であって長軸まわりの分子回転が著しく阻害される構造であることを明らかにした。 2)1)を含め,これまで解析した2ーメチルブチル基を不斉部とするビフェニルエステルの3つの異性体系列の結晶構造を比較検討することにより,各結晶構造は,それぞれの液晶挙動とよい相関をもつこと,かつ各結晶構造は,簡単な分子構造パラメ-タ-(極性基にはさまれたコア部分の長さ)によって規定されていることを見いだした。 3)1ーメチルヘプチルオキシ基を不斉部とするビフェニルエステルの2つの異性体について結晶構造解析を行い,この場合も結晶構造と液晶挙動はきわめてよい関連があり,かつ,各結晶構造は,極性基によってはさまれた部分の長さによって規定されることを明らかにした。 4)窒素原子の位置が1つずれただけで全く異る液晶挙動をとることが知られているピリジン系化合物の2つの異性体について,単結晶を作成し,反射強度を測定した。現在解析中である。
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