現在、書き換え可能な有機光メモリ-の実現が強く望まれている。そのために達成しなければならない問題点は、(1)着色、消色の量子収率が共に大きいこと、(2)光および熱に対する耐疲労性が高いこと、(3)着色性の吸収帯が半導体レ-ザ-の波長領域にあること、(4)読み出しによって記録の破壊が起こらないこと、などである。われわれは、光および熱に対する耐疲労性の高いインドリルフルギドについて、この問題点を追及して以下の研究成果を挙げた。 (1)インドリルフルギドに崇高い置換基を導入すると、フォトクロミック光変換の量子収率が、フリルフルギドの場合と同様に、増大する。AM1法によって求めた、フルギドが溶液中でとりうるいくつかの配座のエネルギ-を用いて、嵩高い置換基による量子収率の増大を説明した。(2)フルギドはビスメチレン無水コハク酸の誘導体である。酸無水物部分を開いてジエステル、あるいはエステルとケトンにしたが、フォトクロミズムが維持された。したがって、フォトクロミズムが起こるためには、酸無水物部分は必須ではないことが分かった。(3)5ージメチルアミノインドリルフルギドのE体は403nm光により環化体Cになり、その吸収は半導体レ-ザ-の波長領域にあるが、780nm光を照射しても変化しない。これに酸を加えると、プロトンがアミノ基に付加し(CH体)、吸収は短波長化し、これが554nm光を吸収するとEH体になり、CとCH、EとEHは平衡にある。この4成分平衡糸を用いることにより非破壊読出し光記録を実現した。すなわち、403nm光を書き込みに、554nm光を消去に、780nm光を読出した用いても記録は破壊されなかった。
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