研究課題/領域番号 |
02640343
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
笠井 俊夫 大阪大学, 理学部, 講師 (20152613)
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研究分担者 |
桑田 敬治 大阪大学, 理学部, 教授 (50028099)
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キーワード | アセトニトリル / 配向分子線 / 化学発光 / 同位体効果 / 反応立体化学 / 分子軌道の広がり / 反応の異方性 / 散乱分布測定 |
研究概要 |
1.配向分子ビ-ム源のパルスバルブ部の改良により、高密度のアセトニトリルおよびその重水素化物の超音速パルスビ-ムを発生させることができ、さらに2メ-トル六極不均一電場を用いて回転状態選択を行なった。CH_3CNおよびCD_3CN配向分子ビ-ムのキャラクタリゼ-ションをおこなうために、飛行時間測定で並進速度分布をつづいてモンテカルロ軌跡シミュレ-ションで回転温度を決定した。これらの結果に基づいて六極電場選択後の分子ビ-ムの配向分布関数を求めた。 2.準安定励アルゴン原子と上記の配向分子との衝突で生成する反応生成物の散乱分布測定を行なうため、反応室中で回転可能な四重極質量分析計を設置した。これは市販の質量分析計を真空中で作動可能なものに改造することで実現した。またコンピュ-タ制御のパルスモ-タ-駆動系の製作で回転角精度0.1度の角度分布測定が可能となり、CD_3CN配向分子ビ-ムの空間プロファイルを決定した。 3.表題の化学励起反応で生成したB電子状態に励起したCNラジカル化学発光過程における同位体効果の詳細な解析から、準安定励起アルゴン原子からのエネルギ-移動過程においてアセトニトリルの少なくとも2つの異なった分子軌道が関与していることが明らかとなった。その一つはCN基端に局在した空間的に異方性をもつ7a_1分子軌道で、もうひとつは等方的な分子軌道である。現在、この同位体効果の要因を相補的に検討するためアセトニトリルから脱離した水素原子の散乱分布測定を行なっており、またデ-タの定量性の向上を目指している。同時に、同位体効果の機構に関する理論的考察も行っている。
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