| 研究概要 |
1)ヒドロキシアバタイトへの水,二酸化炭素およびアルコ-ルの吸着のFTIRによる研究
水分子の吸着では,表面PーOH基に可逆的に吸着する以外にアニオン欠陥部に不可逆吸着した.メタノ-ル分子吸着でも水分子と同様に表面OHが可逆吸着サイトになるが,一部のOH基には不可逆吸着したCH_3ー基を形成する.一方,二酸化炭素吸着では,吸着機構は複雑で,OH^-欠陥部にある水分子とCO_2反応しH_2CO_3が生成し,またアニオン欠陥部にあるOH^-と反応しHCO_3^-が生成することが分かった。.
2)酸化鉄への分子吸着のFTIRおよび吸着熱測出による研究
含水化鉄の一種であるδーFeOOHを真空加熱すると,0.8nmの幅のスリット状マイクロポ-アが発達したαーFe_2O_3微粒子が得られた.このmicroporousαーFe_2O_3への水,メタノ-ル,四塩化炭素,ベンゼンなどの吸着機構およびマイクロポ-ア内でのこれらの吸着状態を明らかにした.
1方,γーFeOOHへの上記分子の吸着等温線を測定したところ,メタノ-ル分子以外で等温線にステップが現れることを発見した.このステップはγーFeOOHの表面で二次元凝縮が起こっていることが吸着熱から分かった.このことはγーFeOOH表面が化学的,幾何学的に均一であることによるもので,フラクタル効析から証明された.
3)金属りん酸塩微粒子の調製とキャラクタリゼイション
コバルト,ニッケルなどのりん酸塩の単分散球形微粒子を調製し,その構造を調べた.その結果,コバルトりん酸塩粒子の表面近くは層状構造で,内部は無定形に近いことが分かった.この層状構造により水分子の選択的に吸着した.粒子を100℃以上で加熱すると層状構造が壊れ,水分子も吸着しないほど表面部分は密になり,そのバル-ン構造は600℃まで保たれた.このように,この微粒子は非常に特異な構造と性質をもつことが分かった.
4)総括
研究はまた継続中であるが,研究報告書に記載したように,満足すべき多くの成果が上げられ,海外および国内での学会で報告するとともに,著名な国際誌に多数の論文を発表することができた.
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