研究概要 |
研究実施計画に基き、生体モデル高分子としてポリーLーオルニチンを、また合成高分子電解質としてポリビニル硫酸塩を用い、膜電極法、円二色法、蛍光プロ-ブ法により以下の研究を行なった。 1.ポリーLーオルニチン塩酸塩〜デシル硫酸イオン系について、結合等温線並びに円二色性に及ぼす添加塩効果を調べ、結合度とヘリックス含量間の関係を明らかにした。その結果、結合度ーヘリックス含量曲線の規則的添加塩濃度依存性は、協同結合に対する線型格子モデル並びにポリペプチドのコイルーヘリックス転移理論に立脚した理論により、定量的に説明できる事を明らかにした。 2.短鎖アルカンスルホン酸イオンを対イオンとするポリーLーオルニチン系について、デカンスルホン酸イオン並びにデシル硫酸イオンの結合等温線及び円二色性を測定し、協同結合性並びにコンホメ-ション変化に及ぼす有機対イオンの効果について研究した。その結果、 (1),結合の協同性は対イオン炭素鎖長の増大とともに急激に低下し、高分子鎖上に混合クラスタ-の形成が起こる事を示した。(第43回コロイドおよび界面化学討論会(香川大学)で発表) (2),ヘリックス形成度は・対イオン炭素鎖長には関係なく対イオン、両親媒性イオン、ポリペプチドから成る錯体の全体としての疎水性により定まる事を見出した。(Bull.Chem.Soc.Jpn.に投稿中) 3.ポリビニル硫酸に対するドデシルトリメチリアンモニウムイオンの協同結合性、並びにクラスタ-内の微視的極性、に及ぼす高分子電荷密度及び添加塩の効果について研究した。その結果、添加塩濃度には関係なく、結合の協同性は電荷密度の減少とともに急激に低下し、またクラスタ-内の極性はミセル内の極性に近い事を明らかにした。(第43回コロイドおよび界面化学討論会(香川大学)で発表)
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