研究概要 |
1.ヘキサメチルジシラン、テトラブチルシラン、およびテトラエチルシランの真空紫外光を用いた光分解 ヘキサメチルジシランの真空紫外光による光分解では従来のケイ素ーケイ素結合の開裂のみならずシリレンの脱離も副経路ながら存在することをテトラメチルシランの検出およびシリレンをヒドロシランで捕捉することにより確認した。テトラブチルシラン、およびテトラエチルシランの光分解の主経路はケイ素ー炭素結合開裂によるトリアルキルラジカル生成と、これによるトリアルキルシランの生成である。ここでもシリレンの生成をヒドロシランによる捕捉実験により確認した。 2.ヘキサメチルジゲルメンの真空紫外光による光分解 ヘキサメチルジシランの光分解と形式的に同じであって、主経路はゲルマニウムーゲルマニウム結合開裂に基づくゲルミルラジカルの発生である。この反応活性種は再分配反応でトリメチルゲルマンおよびジメチルゲルメンを与える。後者はアルコ-ルで捕捉しアルコキシゲルマンとして同定確認した。また、ゲルミンレン生成はゲルモキサンによる捕捉実験で確認した。この過程はケイ素類緑体に比べより重要となっている。 3.(トリフルオロメチル)ベンゼン類を電子受容体とし、ヘキサメチルジシランおよびオクタメチルトリシランを電子供与体とする光誘起電子移動反応 1,3ー,および1,4ービス(トリフルオロメチル)ベンゼンおよび1,3,5ートリス(トリフルオロメチル)ベンゼンを電子受容体とし、ヘキサメチルジシランおよびオクタメチルトリシランを電子供与体とする光誘起電子移動反応では、側鎖のフッ素がケイ素で置換された生成物と芳香環がシリル化された生成物が得られた。溶媒効果等の検討から励起錯体経由の反応であるとして合理的に理解される。
|