研究概要 |
1)生体関連ハイドロキノンの活性ラジカル消去作用とビタミンE再生作用 ビタミンE(Toc)は生体膜中に存在し、不飽和脂質の過酸化を抑制する抗酸化剤として知られている。Tocが抗酸化の作用を行う際、自身は酸化されてTocラジカルとなり、生成したTocは膜を取り囲む水溶液中に存在するビタミンCによって元のTocに再生されると考えられている。一方、近年、ユビキノ-ル(UQ_<10>H_2)が高い活性ラジカル消去作用、ビタミンE再生作用を示すことが明らかにされ、注目されている。そこで、代表的な生体関連ハイドロキノン(HQ)として、ビタミンK_1およびK_3HQ(VK,H_2,VK_3H_2)、α‐,β‐,γ‐Toc HQ(α‐TQH_2,β‐TQH_2,γ‐TQH_2)を用い、そのラジカル消去反応速度K_1,ビタミンE再生速度K_2を測定し、それぞれα‐TocおよびビタミンCと比較検討した。 生体関連HQのK_1の値は種々の溶媒中で、VK_1H_2>VK_3H_2>α‐TQH_2〜β‐TQH_2〜γ‐TQH_2>UQ_<10>H_2〜α‐Tocの順であり、UQ_<10>H_2を除きいずれもα‐Tocより大きなラジカル消去活性を示した。同様に、これらのHQ類は高いビタミンE再生作用を示した。この結果は、電子伝達系に関与する生体関連HQ類がいずれも脂質の過酸化抑制作用に大きく寄与している可能性を示した。 2)ビタミンE類似化合物の合成とその抗酸化活性 ビタミンE類似化合物として、α‐,β‐,γ‐,S‐Tocopheramineおよび、10種の6‐Hydroxy‐1,3‐Benzodioxine誘導体を合成した。また、その活性ラジカル消去速度と一重項酸素消光速度の測定を行い、この反応の構造活性相関を明らかにした。Tocopheramine類はα‐Tocよりも低い酸化電位を示し、従って、α‐Tocより高い一重項酸素消光活性を示した。
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