アシルゲルマン類の新規合成法を報告して以来、その反応性を検討してきた。式1の分子間光付加反応が成功し、その分子内反応への適用として、分子内にアシルゲルミル部とオレフィンをあわせもつ化合物で、高い位置選択的反応として式2と3に示された5員環ならびに6員環ケトンが高収率で合成されることが判明した。 これらの基礎開発反応をもとにして、課題にある一般化の問題が詳しく検討され、直鎖上にヘテロ元素を含むもの、環をすでに持つもの、さらにオレフィンに置換基を持つものなど12種の基質を合成し、高選択的新規光環化反応が十分に有機合成に有用な5員環ならびに6員環合成法であることが確立された。この反応の特異性の一ツとして末端オレフィンでないと環化が起らない点、また環が7員環以上になると反応しないなどいくつかの点で立体化学的制約がある点も判明した。双環性ケトンの合成にも成功したことなどにより、有用な天然物合成反応にもなり得ることが判明した。 以上の結果をもとに、現在では生成物のβーゲルミル基の活性化によるさらなる炭素一炭素結合延長反応の検討がなされている。
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