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1990 年度 実績報告書

気相におけるラジカルイオンの構造一安定性相関

研究課題

研究課題/領域番号 02640416
研究機関岡崎国立共同研究機構

研究代表者

三島 正章  岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (20037279)

キーワード気相イオン / ラジカルイオン / 置換基効果 / LArSR相関 / 電子親和力 / イオンサイクロトロン共鳴
研究概要

まず最初にこれまで主として陽イオンの測定に使用していたイオンサイクロトロン共鳴(ICR)測定装置の感度の向上を計るために電子銃およびイオントラップセルの改良を行った。また陰イオン種の測定のための最適条件の検討を行った。それらの性能テストは十分満足できる結果を与え、本研究目的に耐えうる高精度のデ-タが得られることを確認した。また、気相イオン平衡に基づく電子親和力の測定に使用されているパルス高圧質量分析法(HPMS)のデ-タと比較するために種々の化合物の相対電子親和力をICR法により決定した。両者のデ-タはよい一致を示し、HPMS法により得られている文献値も対等のレベルで議論に利用できることが明らかになった。
m,pー置換ニトロベンゼンのラジカルアニオンの気相安定性に及ぼす置換基効果のLArSR相関はρ=19、r=0.8を与えた。このρ値はフェノキシドアニオンの安定性における値よりわずかに減少しているが、r値(共鳴要求度)は増大を示した。この共鳴要求度は置換アニリンの酸性度の置換基効果解析から得たアニリドイオンの共鳴要求度の大きさに等しく、この結果はニトロベンゼンのラジカルアニオンの陰電荷のベンゼン環πー系への非局在化の度合がアニリドイオンと等しいことを示唆する。また置換ベンゼンのラジカルアニオンの安定性の置換基効果のLArSR解析から得た共鳴要求度はニトロベンゼンのラジカルアニオンの値より大きいことが判った。この結果は母体のラジカルアニオンの安定性の低い系ほど大きい共鳴要求度をもつことを示唆し、ベンジルカチオン系の気相安定性の置換基解果の解析において我々が得た結論、つまり共鳴要求度の本質は母体イオン種のintrinsic安定性である、の普遍性を強く支持する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] M.Fujio,M.Goto,S.Susuki,M.Mishima,and Y.Tsuno: "Substituent Effects in the Solvolysis of Benzyl Tosylates." J.Phys.Org.Chem.3. 449-455 (1990)

  • [文献書誌] M.Mishima,H.Inoue,M.Fujio,and Y.Tsuno: "Gas Phase Substituent Effects.Stabilities of 1ーArylー2,2,2ーtrifluoroethyl Cations." Tetrahedron Lett.31. 685-688 (1990)

  • [文献書誌] M.Fujio,M.Goto,M.Mishima,and Y.Tsuno,: "Substituent Effects.XVIII.The Resonance Demand in the Acetolysis of Neophyl Brosylates." Bull.Chem.Soc.Jpn.,. 63. (1990)

  • [文献書誌] A.Murata,M.Goto,R.Fujiyama,M.Mishima,M.Fujio,and Y.Tsuno: "Substituent Effects.XIX.Solvolysis of 1ーArylー1ー(trifluoromethyl)ethyl Tosylates." Bull.Chem.Soc.Jpn.,. 63. 1129-1137 (1990)

  • [文献書誌] A.Murata,S.Sakaguchi,R.Fujiyama,M.Mishima,M.Fujio,and Y.Tsuno: "Substituent Effects.XX.Highly ElectronーDeficient Carbocation Solvolyses." Bull.Chem.Soc.Jpn.,. 63. 1138-1145 (1990)

  • [文献書誌] M.Fujio,M.Goto,T.Susuki,I.Akasaka,M.Mishima,and Y.Tsuno: "Substituent Effects.XXI.Solvolysis of Benzyl Tosylates." Bull.Chem.Soc.Jpn.,. 63. 1146-1153 (1990)

  • [文献書誌] Masaaki Mishima,Yuho Tsuno,and Mizue Fujio: "Thermodynamic Stabilities of Phenonium Ions in the Gas Phase." Chem.Lett.,. 2277-2280 (1990)

  • [文献書誌] Masaaki Mishima,Yuho Tsuno,and Mizue Fujio: "Substituent Effect on the Gas Phase Basicity of α,α,αーTrifluoroacetopheone.Intrinsic Nature of Resonance Demand." Chem.Lett.,. 2281-2284 (1990)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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