研究概要 |
コンパクチン1の全合成をデカリン部とラクトン部との2つの部分に分けて考えた。今年度は、コンパクチン1及びジヒドロコンパクチン合成の共通中間体であるアルデヒド6の合成を成し遂げる事ができた。1)基本デカリン骨格の合成と2位、4a位,8a位の立体化学の制御:4ーTBDMSOー1ーアセチルシクロヘキセンのキネティックエノラ-トとクロトン酸メチルは、HMPA存在下に連続した2段階のマイケル反応を行い、シスーステロイド型デカロンを与えた。この化合物は、塩基処理により核間が安定型のトランス型デカロン2へと異性化した。この段階でコンパクチン類の2位,4a位,8a位の立体化学が整った。2)3、4位二重結合の導入と8位の立体化学の制御:二重結合の導入に関しては、反応の再現性、操作性の2点で、キサンテ-ト熱分解法が良い事がわかった。即ち、化合物2の4位のカルボニル基を還元するとアキシャルアルコ-ルが選択的に得られ、これをキサンテ-ト3とした。4位にアキシャル置換基が存在する時、化合物4の8位のカルボニル基の還元は、コンパクチンと同じ配置を持つアキシャルアルコ-ルを選択的に与え、更に溶容易にラクトン環を巻いた。ここで熱分解により3、4位に二重結合を導入し5とした。3)1位の立体化学の制御:計画段階で容易に異性化すると予想されていた1位のアキシャルのエステル基は、様々な試みにもかかわらず、エカトリアルへと異性化させる事が出来なかった。そこで、エステル基をより異性化し易いホルミル基に変換し、更に、8位のアキシャルアルコ-ルの立体反発を利用する事とした。ラクトン5より還元、保護、脱保護、酸化によりアルデヒド体とした。この化合物を塩基で処理すると、ホルミル基がエカトリアルへと異性化し目的とするアルデヒド6が得られた。
|