研究課題/領域番号 |
02640425
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
天然物有機化学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
泉 俊輔 広島大学, 理学部, 助手 (90203116)
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研究分担者 |
平田 敏文 広島大学, 理学部, 教授 (80033926)
宗貞 清貴 広島大学, 理学部, 助手 (30166235)
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研究期間 (年度) |
1990 – 1992
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キーワード | 両生類 / 脳組織 / 糖脂質 / ウシガエル / ガングリオシド / セレブロシド |
研究概要 |
ガングリオシドは動物の神経系に多く含有されており、それらは神経機能発現のための基本的な化学物質であると考えられている。本研究では、ウシガエル(Rana catesbeiana)の脳組織からセレブロシドとガングリオシドを単離し、各種スペクトルに基づいて、構造決定した。セレブロシドは、セラミド部分の構造の類似性に基づいて、スフィンゴシン型とデヒドロスフィンゴシン型に分類された。またガングリオシドについては、先に報告した主成分である3種の他に、新たに3種類の微量ガングリオシドを単離し、その構造を明らかにした。また、イモリ(Triturus pyrrhogaster)の脳組織から主成分であるガングリオシドとともに、4種類の微量ガングリオシドを単離した。これらの結果をもとに、無尾両生類(カエル)と有尾両性類(イモリ)の脳組織の糖脂質構造の差違を明確にした。その結果、ウシガエルとイモリの脳組織には同じガングリオシドが含まれているが、成分比は両生体間で大きな違いがあることがわかった。 動物の神経系におけるガングリオシドの生理的役割を解明する一環として、カエルの脳組織より単離したガングリオシドの金属イオンに対するイオン輸送活性を調べた。その結果、ガングリオシドはいずれもNa^+およびK^+を輸送するが、Ca^<2+>に対しては輸送活性を示さなかった。さらに、K^+に対する輸送活性は、Na^+に対する活性より約50倍高いことがわかった。また、この輸送においては糖鎖部分の構造が重要な因子であることが明らかとなった。今後、様々な糖鎖をもつガングリオシドについてイオン輸送機能を調べ、Na^+およびK^+イオンの輸送機構と糖鎖構造との関係を究明することが重要と考えられる。
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