中性子捕捉療法は予め腫瘍部に選択的に ^<10>Bを集めておき、原子炉で発生する中性子を照射し、核反応をおこさせ、その時に発生するエネルギ-で腫瘍を破壊しようとする治療法である。本療法においては、腫瘍部に ^<10>Bを集積させる性質のある ^<10>B化合物を患者に投与した後の、腫瘍部、周辺の正常組織、血液等の ^<10>B濃度を迅速に知ることが重要である。本研究では、既に報告者が開発したアルカリ溶融法で試料を分解し、メチレンブル-比色法で微量ホウ素を定量する方法を見直し、その迅速化を行なった。 迅速化を妨げていたのは次の3点である。 1.試料にアルカリ水溶液を添加した後の水分の除去。 2.分解して得られたホウ酸をテトラフルオロホウ酸にするのに要する時間。 3.2回抽出を行なうが、抽出後に2層を分離するのに要する時間。 1.に対してはいままで分解してきた試料量である1から2グラムを1/10に減らして、0.1から0.2グラムとし、加えるアルカリの量も減らすことにより、約10分で蒸発乾固させることができることとなった。 2.に対しては反応溶液の温度を35℃にすることにより、今までかかっていた30分以上を10分に短縮できるようになった。 3.に対しては、円心分離機を用いることにより大幅に時間を短縮することが可能となった。また、補助金で購入した分光器、島津UV2200本体は、2次曲線の検量線プログラムを内蔵しており、それを利用することで、より速く結果が得られることとなった。
|