研究課題/領域番号 |
02640446
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研究機関 | 姫路工業大学 |
研究代表者 |
寺部 茂 姫路工業大学, 理学部, 教授 (50115888)
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研究分担者 |
眞鍋 敬 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (60094281)
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キーワード | キャピラリ-電気泳動 / 動電クロマトグラフィ- / 高分子イオン / ナフタリンスルホン酸異性体 / ナフタリンジスルホン酸異性体 / イオン対生成定数 |
研究概要 |
キャピラリ-電気泳動にイオン交換クロマトグラフィ-の分離原理を組み合わせた分離法にイオン交換動電クロマトグラフィ-と命名し、その基礎的特性を明らかにした。ナフタリンスルホン酸異性体2種およびナフタリンジスルホン酸5種の混合物を試料として用い、電気泳動溶液にポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)(PDDA)またはジェチルアミノエチル(DEAE)ーデキストランを含む 50mM リン酸塩緩衝液(pH 7.0)を使用して電気泳動を行うと、それぞれ全異性体の分離が可能であった。これら異性体の分離は、単に上記緩衝液を用いただけでは不可能であったので、高分子イオンと試料イオンとのイオン対生成反応が、試料異性体イオン間の移動速度の違いに寄与していることは明かである。種々の1価及び2価有機イオンを試料に、PDDAとポリブレンを高分子イオンに用い、試料イオンの移動速度の高分子イオン濃度依存性を検討した。1価イオンの場合には一般に高分子イオン濃度の増加(0.6% まで)に伴い分離が上昇したが、2価イオンの場合には、高分子イオン濃度が0.3%以上に増加すると分離はかえって悪くなった。また、PDDAとポリブレンとはその濃度が移動速度に及ぼす大きさは異なるが、分離選択性はほとんど同じであった。移動速度と高分子イオン濃度との関系を理論的に検討し、その依存性からイオン対生成定数の算出が可能であることを明らかにした。高分子イオンが存在しない場合に等しい移動度を持つ異性体イオンについては、上記依存性からイオン対生成定数を求めることが容易であることも明らかにした。以上、本研究ではイオン交換動電クロマトグラフィ-について、その基本原理を証明し、異性体イオンの分離に有効であることを示した。
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