研究概要 |
コンプレキサンの生物圏における挙動と水汚濁並びに水生動植物への影響とその制御に関する研究を行なった。 (1)市街地の河川水中のコンプレキサンの濃度分布と富栄養成分との関連性について調査研究、 (2)キレート物質分解菌による分解機序、 (3)水汚濁による藻類の繁殖とキレート物質との関係についての検討を進めた。(1)市街地河川水中の濃度分布と年間変動:河川水中の一般化学成分も18項目に加え、EDTA,NTAおよび界面活性剤の測定を毎月年間を通じて実施した。その結果、コンプレキサンと水質汚濁成分とは非常に関連性が高く、殊に界面活性剤の濃度とBOD,CODなどの汚濁度を示す指標との相関性が高い傾向にあった。しかし、NTA,EDTAについても類似した傾向が見られるものの濃度変動が大きく、微量金属をあわせて更に詳細調査研究が必要と思われる。(2)コンプレキサンの制御に関する研究として、キレート物質分解菌の分解性:分解菌のpsudomonas sp-Yを用いて、難分解性のEDTAの分解能について検討した。微量金属、特に鉄の共存が不可欠であり、Fe^<2+><---->Fe^<3+>の酸化還元が繰り返されることにより分解効率を高めるこTが確認された。今後さらに効率の高い菌検索が必要である。(3)藻類繁殖とキレート物質との関係:汚濁水中でカビ臭を産生するラン藻類を用いて検討の結果、特別な種類を除いて大半のラン藻では、キレート物質の共存で鉄が溶存態を保ち、更にFe^<3+>--->Fe^<2+>に還元されて鉄吸収が可能になることが確認された。
|