研究概要 |
クレアチンを簡単に定量するためにクレアチナ-ゼとサルコシンオキシダ-ゼを用いる微小酵素センサ-の試作を行ないその特性を検討した。すなわち,内径3mm,長さ15mmのガラス管に白金線(0.5mm)と銀線(1mm)を挿入し,エポキシ樹脂系接着剤で固定した。このガラス管の先端に1mm厚さの酵素膜をとりつけた。これは4mgクレアチナ-ゼ,4mgサルコシンオキシダ-ゼ,1mgフラビンアデニンジヌクレオチドおよび10w/w%牛血清アルブミン溶液10μlを混合しグルタルアルデヒド溶液を用いて架橋化法により固定化した酵素膜である。クレアチンの定量方法は,恒温セル中にpHワリン酸カリウム緩衝溶液200μlをはかりとり,38℃で試作した電極を浸漬する。白金陽極に+580mV(銀陰極に対して)の加電圧をかける。これにクレアチン試料溶液を注入すると(1)式に示すようにクレアチナ-ゼの作用により尿素とサルコシンを生成する。続いて(2)式のようにサルコシンオキシダ-ゼの作用により,過酸化水素,ホルムアルデヒドならびにグリシンを生成するので,生じた過酸化水素とホルムアルデヒドの酸化電流を測定することによりクレアチンを定量する。 【chemical formula】(1) 【chemical formula】(2) 固定化酵素量の検討,pHの影響,温度の影響,フラビンアデニンジヌクレオチド量の影響,電位の検討,定量可能なクレアチン濃度,共存物の影響および電極寿命について検討した。その結果250μlの試料溶液を用い10μM〜0.65mMのクレアチンの定量が可能であり,相関係数0.999と直線性のある検量線が得られた。電極寿命については作製後3〜6日間は感度に影響が見られず安定して使用できた。
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