クレアチンは98%が筋肉中に、一部分は神経中に分布しており、エネルギ-源として重要な役割を果している。その血清値や尿中値はおもにJappe反応を用いて測定され、筋肉疾患や神経疾患の診断に利用されているが、定量法が大変煩雑であるため、簡単で精度の高い分析法の必要性は高い。そこで微量のクレアチンを簡単に精度よく定量するために微小酵素電極の試作について研究をすすめ、クレアチナ-ゼとサルコシンオキシダ-ゼを用いる電極の作製に成功した。すなわち、内径3mm、長さ15肖mのガラス管に白金線と銀線を挿入しエポキシ樹脂系接着剤で固定した。このガラス管の先端にクレアチナ-ゼ、サルコシンオキシダ-ゼ、フラビンアデニンジヌクレオチドおよび牛血清アルブミン溶液を加えて、グルタルアルデヒド溶液を用いる架橋化法により酵素を固定化し(膜の厚さ2mm)電極を作製した。また、固定化酵素量の検討、電極へのpHの影響、温度の影響、フラビンアデニンジヌクレオチドの影響、電位の検討、定量可能範囲、共存物質の影響および電極寿命などの電極特性について検討した。また試作電極を用いて市販クレアチンの定量を試みた。その結果、固定化酵素量の検討については4mgのクレアチナ-ゼとサルコシンオキシダ-ゼを用いるのが適当であった。またpHの影響についてはpH7、温度の影響については38ー40℃で良い結果が得られた。設定電位の検討では+580mVにおいて最大電流値が得られた。定量可能範囲については、クレアチン濃度10μMー0.65mMと電流値(nA)との間で直線関係が得られ、相関式はY=647.8X+3.33(Yは電流値/nA、Xはクレアチン濃度/mM)、相関係数は0.999であった。共存物質8種類の影響を検討した。電極寿命については電極作製後3ー6日間安定な電位を示した。最後に市販クレアチン3種類の定量を試みたところ、十分使用可能であることが明らかになった。
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