研究概要 |
〔1〕分析システム:当初の計画ではPーヒドロキシフェニル酢酸による蛍光法で過酸化物の分析システムを構築する予定であったが,予算の都合から,送液ポンプシステム1台で分析の行える化学発光法によって分析を行うことに変更し,当研究所で保育する液体クロマトグラフ・システムに送液ポンプをつけ加え,別途購入した化学発光検出器と組み合わせて,分析システムを構築した。 〔2〕メチルヒドロペロキシドの合成:本研究の中心的な分析対象である有機過酸化物のうちメチルヒドロペロキシドの合成を行った。本化合物は爆発性のあることが知られており,合成には細心の注意を必要とする。本研究ではRavishan Karaらの方法を用い,50gのジメチルスルホキシドと75mlの30%過酸水素水の混合物を0℃に冷却し,これに40%の水酸カリウム水溶液63mlを1時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後50%の硫酸を加えpH2位の酸性とする。エ-テル約100mlずつのエ-テルで4回抽出(フラスコ内で10分以上攪拌した後分液ロ-トで抽出)し、1晩乾燥後、エ-テルを留去し,減圧蒸留で純品を得た。〔3〕分析系の検討:まず,分析カラムとして最も一般的な逆相分配系のカラムを用い,溶媒,化学発光計までの配管長,化学発光試剤としてルミノ-ルを用いた場合の濃度,反応試剤のチトクロ-ムCとの混合化などについて最適条件をチェックした。溶媒としては水ーメタノ-ル=1:1系がすぐれているが,有機過酸化物と過酸化水素の分離は十分ではない。これを改善すべく,別途低温恒温槽を入手し,4℃付近まで冷却して分離を試みた。冷却は過酸化物の分解をおさえるためにも有効である。ただ4℃でもまだ分離は不十分で,過酸化物の分析には過酸化水素のみを分解するカタラ-ゼによる前処理等が必要と思われる。また、低濃度領域での感度も不十分なため,この検討も必要である。
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