研究課題/領域番号 |
02640462
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研究機関 | 国立環境研究所 |
研究代表者 |
泉 克幸 国立環境研究所, 大気圏環境部, 主任研究員 (70132842)
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研究分担者 |
村野 健太郎 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 主任研究員 (40109905)
畠山 史郎 国立環境研究所, 地球環境研究グループ, 主任研究員 (30132856)
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キーワード | 過酸化水素 / 有機過酸化物 / メチルヒドロペロキシド / 天然炭化水素 / オゾン / 化学発光法 / 高速液体クロマトグラフ |
研究概要 |
本年度は、オゾンーテルペン系炭化水素の反応による過酸化物の生成過程の解明に重点をおいて研究を行った。用いた実験系は国立環境研究所に設置されている内容量4m^3の光化学反応チャンバ-である。 研究の対象とした炭化水素はイソプレンとαーおよびβーピネンの植物起源天然炭化水素である。ただし、両ピネンは蒸気圧が低いため、現有のシステムではチャンバ-に十分な濃度まで導入することが困難であったので、その代りに1ーメチルシクロヘキセン(A)およびメチレンシクロヘキサン(B)を用いた。両者はαーおよびβーピネンと構造がよく似ており、またオゾンとの反応もネピンときわめて類似していて、そのモデル化合物として研究に用い得ることは既に我々が報告している。オゾン(2ー0.5ppm)と炭化水素(4または2ppm)を各一定量(常に炭化水素過剰とした)チャンバ-に導入した後、オゾンが完全に消費されるまで放置し、チャンバ-の内の生成物をインピンジャ-に捕集した。炭化水素を過剰にし、オゾンが消費されるまで待つのは、オゾンを含んだ空気をインピンジャ-で捕集するとこれによって過酸化水素が生成してしまうのでこれを避けるためである。蒸留水に捕集した過酸化物は昨年度作成した高速液体クロマトグラフー化学発光検出器のシステムによって分析した。いずれの反応系においても過酸化水素の生成ははほとんど認められず、従来の報告とは異なっていた。イソプレンーオゾン系ではクロマトグラム上に4種類のピ-クが認められ、保持時間6.70分のピ-クはメチルヒドロペロキシドとよく一致したが、分解が速く、初期収率が大きくなりすぎること、およびイレンと同様に未端メチレン基を持つ(B)でも同様の結果が得られること等から、両者に共通の中間体CH_2OOとH_2Oの反応、またはCH_2O+HO_2反応に由来するHOCH_2OOHではないかと推察された。(A)からは主にメチルヒドロペロキシドのみが生成した。
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