(1)以前、我々はCp^*TaCl_4と種々のジチオラ-ト塩との反応により一連のCp^*Ta(SーS)_2型錯体を合成した。この場合、ジチオラ-ト塩の当量比を変えても、単離される錯体はビス(ジチオラ-ト)錯体ないし未反応クロライド錯体のみで、Cp^*TaCl_2(SーS)の生成は全く認められなかった。ところが、Cp^*TaCl_4はモノチオラ-ト塩( ^tBuSLi)と段階的に反応して、下記の種々の錯体を単離することに成功した。興味深いことに、Cp^*TaCl_4と4倍当量 ^tBuSLiからは予想されるCp^*Ta(S^tBu)_4は生成せず、CーS結合切断がおこってスルフィド錯体に移行する。さらにこのスルフィド錯体をトルエン中で加熱すると、すべてのCーS結合が切断されて三角フラスタ-(Cp^*Ta)_3S_7を与える。 (2)以前、合成単離と構造決定を行なったウラン(IV)のエチレンジチオラ-ト錯体Li_4(dme)_4U(SCH_2CH_2S)_4の溶液中動的挙動を ^1H NMRによって解析した。US_8部分のドデカヘドラル配位構造におけるsite exchangeとUSCCSリングのコンフォ-メ-ション変化を分離し、各々の活性化パラメ-タ-を決定した。さらに、ウランの不対f電子に起因する常磁性ケミカルシフトの半定量的解析を行ない、その原因が主にコンタクトシフト項にあることを明かにした。 (3)Li_2S_x(x=2-4)のTHF洗液を減圧乾固し、tmeda(N、N'ーtetramethylethylene diamine)存在下トルエン中で処理すると、Li_2S_6(tmeda)_2がオレンジ色結晶として単離された。これは構造決定された初めてのリチウムスルフィドで、S_6両末端にリチウムが架橋しためずらしい構造を有する。
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