(1)Cp^*TaCl_4と無水リチウムスルフィド(Li_2S_2 or Li_2S)との反応より得られるCp^*TaS_3Li_2型錯体と(C_8H_<12>) _2Rh_2Cl_2との反応より、異核混合クラスタ-Cp^*TaS_3(Rh(C_8H_<12>))_2を単離し、その構造をX線構造解析より決定し、温度可変^1HーNMRスペクトルより、ロジウムフラグメントが3硫黄原子上で容易に移動することを見いだした。原料ハライド錯体のRhーC_8H_<12>結合を保持したまま異核クラスタ-が生成したことは、Cp^*TaS_3を構成要素(担体)として、さまざまな機能性配位子を持った金属硫黄クラスタ-を合成する新しい道を拓いたことになる。 (2)Cp^*TaS_3Li_2と(Ph_4P) _2(Fe_4S_4Dl_4)、(Ph_4P) _3{Fe_3(SPh)_3}、(Ph_4P) _2(Fe_2S_2Cl_2)との反応はいずれも(Cp^*TaS_3) _2Fe^<2ー>を生成することが明かとなった。これらはTHF中50℃の条件下で行なったもので、それぞれの鉄硫黄クラスタ-から鉄原子が遊離したこと示唆する。 (3)Cp^*TaCl_4はモノチオラ-ト塩( _tBuSLi)と段階的に反応して、下記の種々の錯体を単離することに成功した。興味深いことに、Cp^*TaCl_4と4倍当量 ^tBuSLiからは予想されるCp^*Ta(S^tBu)_4は生成せず、CーS結合切断がおこってスルフィド錯体に移行する。 (4)以前、合成単離と構造決定を行なったウラン(IV)のエチレンジチオラ-ト錯体Li_4(dme)_4U(SCH_2CH_2S)_4の溶液中動的挙動を ^1H NMRによって解析した。US_8部分のドデカヘドラル配位構造におけるsite exchangeとUSCCSリングのコンフォ-メ-ション変化を分離し、各々の活性化パラメ-タ-を決定した。さらに、ウランの不対f電子に起因する常磁性ケミカルシフトの半定量的解析を行ない、その原因が主にコンタクトシフト項にあることを明かにした。
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