研究概要 |
マウスのチロシナ-ゼcDNA(Yamamoto et al.,1987)をプロ-ブに用いて、鳥類のウズラ、は虫類のスッポンのゲノムライブラリ-からそれぞれチロシナ-ゼの第1エクソンを含むゲノムDNAのクロ-ニングに成功した。このことにより、当研究室ではマウス(Yamamoto et al.,1989)、ヒト(Kikuchi et al.,1989)を含め4種の動物に由来するチロシナ-ゼ調節領域を含むゲノムのクロ-ンが利用できるようになった。 ウズラ及びスッポンから得られたクロ-ンの塩基配列を決定し、マウスやヒトの配列との比較を行った。第1エクソンのコ-ディング領域に於けるDNAの塩基配列は予想通り高い相同性を示し、第1エクソンと、第1イントロンの境界の配列もよく保存されていた。又第1エクソンにコ-ドされるアミノ酸配列にも4種の間に高い相同性が認められ、その長さも同一であり、予想されるハイドロパシ-のプロファイルにもほとんど差がなかった。 一方チロシナ-ゼ遺伝子の調節領域においては、マウスとヒトの間で高い相同性を持つ領域が、コ-ディング領域のように全長に渡ってではなく、小島状に散在していることが判明した。さらに、ウズラやスッポンとマウスチロシナ-ゼ遺伝子の調節領域にはそのような相同性すら見つけられなかった。しかし10塩基対ぐらいの短い配列に注目してみると、よく保存されている配列が見つかった。これらの高い相同性を持つ短い配列を含む領域に、組織特異的に発現するDNA結合性タンパク質を検出することができた。このDNA結合性タンパク質は、マウスに於てメラニン産生に関わるチロシナ-ゼ以外のタンパク質をコ-ドする遺伝子にも結合することが判明し、当DNA結合性タンパク質がメラニン産生に関与する遺伝子群の発現調節に強く関わっていることが示唆された。
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