1.マウスのチロシナ-ゼcDNA(Yamamoto et al.1987)プロ-ブに用いて、鳥類のウズラ、爬虫類のスッポンそれぞれのゲノムライブラリ-から第1エクソンを含むゲノムDNAのクロ-ニングに成功した。既に当研究室ではヒトチロシナ-ゼの該当する領域もクロ-ニングに成功しているので、合計4種の動物に由来するチロシナ-ゼ遺伝子調節領域を含むゲノムクロ-ンが利用できるようになった。 2.また、マウスチロシナ-ゼ遺伝子に相同な遺伝子のクロ-ニングを進め、ホヤ、ヤツメ、ウニ、エビからポジティブなシグナルを得、現在そのフラグメントの解析をしているところである。 3.高い相同性を持つ領域が、小島状に散在していることが判明した。それに反して、ウズラやスッポンとマウススチロシナ-ゼ遺伝子の調節領域にはそのような相同性すら見つけられなかった。然るに第1エクソンのコ-ディング領域にはこれらの動物間で高い保存性が認められた。 4.この様にマウスと低い相同性しか認められなかったウズラやスッポンの5'上領域がそれでもマウスで色素細胞特異的に働くかを、これら調節領域とマウスcDNAからなる融合遺伝子を作製し、トランスジェニックマウスを作製することによって確認中である。予備実験からポジティブな結果を得ている。この事は、より短いDNA配列(エレメント)とトランスアクティングファクタ-についての解析が必要であることを示唆しているものであろう。 5.ゲノムDNAをもとに作製したプライマ-を用いて、ウズラとスッポンのcDNAもクロ-ニングすることができた。上記4種のチロシナ-ゼcDNAの塩基配列および推定されるアミノ酸配列には、高い相同性が認められた。
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