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1991 年度 実績報告書

アリ共生型と非共生型アブラムシの行動・生態比較

研究課題

研究課題/領域番号 02640502
研究機関北海道大学

研究代表者

東 正剛  北海道大学, 大学院・環境科学研究科, 助手 (90133777)

キーワードアリ / アブラムシ / 共生 / 進化 / 天敵 / 捕食被食 / 生態 / 種間関係
研究概要

近縁アブラムシでありながらアリ共生型と非共生型に分化したTuberculatus quercicolaとT.querciformosanus(寄主:カシワ・ミズナラ)、Macrosiphoinella yomogicolaとM.hikozanensis(ヨモギ)、Aphis citricolaとA.agrimoniae(チョ-センゴミシ・キンミズヒキ)、Neocalaphis magnolicolensとN.magnoliae(ホオノキ・キタコブシ)について形態や行動を比較し、次のような結果を得た。1.形態上、共性型を特徴づける共通形質は認められない。2.網をかけ、アリや天敵類が近づけないようにした枝上でも、共生型であるT.quercicolaやN.magnolicolensのコロニ-は成長する。このことは、従来の説通り、アリによる天敵類からの保護が、アブラムシとアリの共生を促していることを示唆している。3.そこでアリに対する天敵類の反応を観察した。主な天敵は、クサカゲロウの幼虫.ナナホシテントウの成虫、ハナアブの幼虫.コシボソアナバチであったが、いずれもアリによって直接捕食されることは極めて稀である。しかし、捕食量は明らかに減少する。また、ハナアブでは、産卵のためにアズラムシのコロニ-に近づく成虫が攻撃をうけやすい。つまり、アリは、天敵による捕食と産卵を妨害することによってアブラムシに利益を与えている。4.非共生型のT.querciformosanusやN.magnoliaもこれらの天敵類に捕食されるが攻撃される頻度や被食率は、共生型近縁種より有意に低い。これには、共生型よりコロニ-サイズが小さく天敵誘引率が低いことや、行動がやや敏捷であることなどが原因しているように思われる。5.網かけをしたA.citricolaとM.yomogicolaのコロニ-も初めの数日間は成長するが、やがてカビ類の発生によって崩壊する。以上の観察から、共生型アブラムシの進化には、形態的要因よりも、コロニ-サイズ、天敵、生息環境などの生態要因や行動習性上の要因が、より強くかかわっているように思われる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] F.ITO: "An indirect mutualism between oaks and wood ants via aphids" Journal of Animal Ecology. 60. 463-470 (1991)

  • [文献書誌] 東 正剛: "アリは植物のパ-トナ- ー「条件付き共生」の進化ー" 遺伝. 別冊4. 66-74 (1992)

  • [文献書誌] S.Higashi: "Interactions between a red wood ant Formica yessensis and aphid Tuberculatus spp.on an oak Quercus dentata"

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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