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1991 年度 実績報告書

地形傾度に対応した植生パタ-ンに関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 02640503
研究機関千葉大学

研究代表者

大沢 雅彦  千葉大学, 理学部, 助教授 (80092477)

キーワード地形 / 地形的群落 / 競争的排除 / 種間関係 / 動態単位 / パッチダイナミクス / 崩壊地
研究概要

2年目にあたる今年度は、昨年と同様、那須、日光、秩父、清澄山などで調査を継続した。秩父山地の針葉樹・落葉樹混交林での調査の結果、昨年度報告した清澄山の常緑広葉樹林の場合とも整台性のある興味深い結果を得た。山地帯下部にあたる標高1250mにパ-マネントコドラ-トを設置し、2年間にわたって詳しいパタ-ン解析を行ったところ、凸型斜面はブナ・ツガ型、凹型斜面にはブナ・イヌブナ型の森林が対応していた。この植生パタ-ンの成因を樹齢解析、実生の生残過程などによって調べてみると、ブナの実生は地形に無関係にどこにでも出現する。しかし、ツガの実生は凸型斜面では定着するが、凹型斜面では地表面の小撹乱があるために定着できない。ツガが定着する凸型斜面ではツガの定着後は林床の照度が足りず下層に後継樹は侵入できないので、ツガの枯死後はミズメなど先駆性落葉樹が侵入し、針葉樹と落葉樹の間でサイクリックな動態を示す。凹型斜面では落葉樹か枝折れや幹折れなどの撹乱を受れ易く、林冠が完全にはうっぺいしないので、ナツツバキ、コハウチワカエデなどの先駆性・途中相性の落葉樹が混在することが多く、多様性の高い群落が維持されている。それぞれの群落型の成立する立地の土壌の水分条件、林床の光条件などを計測しても群落の成立の第一義的な要因にはならない場合が多かった。日本のように湿潤変動帯に位置する山岳地では清澄山や今回の秩父での例のように地形にともなう地表の安定性が植生の成立に大きな意味を持っていることが明らかになった。その場合は、実生のサイズ、崩落や埋没後の萌芽再生能力などが重要である。また、常緑針葉樹と落葉広樹といった生活型の差異はそれぞれの定着後の後継樹の出現パタ-ンを決定する重要な要因となる。したがって、種間競争を決める競争的ヒエラルキ-は地形単位ごとに設定されねばならない。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Imai,A. & Ohsawa,M.: "Vegetation pattern and microtopography on a landslide scar of Mt.Kiyosumi,central Japan" Ecological Research.

  • [文献書誌] Ozaki,K. & Ohsawa,M.: "Vegetational and regeneratire pattern of temperate conifers along topographical gradients" Ecological Research.

  • [文献書誌] Ohtsuka,Y. & Ohsawa,M.: "Vegetational pattern in relation to microーlandforms in valley heads of montane deciduous forest zone" Ecological Research.

  • [文献書誌] 松井 健 ほか編,大沢 雅彦: "丘陸地の自然環境ーその特性と保全ー(担当微地形と植生)" 古今書院, 202 (1990)

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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