ホタルの発光パタ-ンの新規な波形解析方法を開発した。従来波形記録はペンレコ-ダによっていたが、コンピュ-タを駆使し、デ-タ保存が可能となったために、分析精度を飛躍的に向上させることができた。この方法により、従来認識不能であった波形要素が判明し、発光コミュニケ-ションのより詳細な実態の解明が可能となった。 沖縄県西表島で新たに発見されたホタルの雌は誘引行動と抱卵行動時に、発光部位を全く変え、ホテルの発光行動の進化を考察する上で重要な知見となった。さらに、ホテルの体液分泌が捕食者に対し忌避行動を解発した。これらの成果は国際動物行動学会や昆虫学会で発表した。遺伝的研究については、ゲンジボタルをはじめとした日本産ホタル亜科ホタル全種について分析を終え、遺伝的背景を明らかにした。特に琉球列島のホタルの系統が判明しつつあり、ホタルの進化を考察する上で重要な成果となった。また各種ホタルの集団が地域特有の遺伝的背景を有していることも明かになった。これらの結果は動物学会・昆虫学会で発表した。今後、更に昼行性ホタルを含む日本産ホタル全種についてアイソザイムの比較検討を実施し、遺伝的距離を把握するとともに、発光コミュニケ-ションとの関係を比較検討したい。またゲンジボタルの分布拡散経路を明かにするために、ミトコンドリアDNAについても研究を進めつつある。
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