研究概要 |
1.不飽和脂肪酸合成嫌気経路の阻害剤DNACを高濃度(1×10^<ー4>M)与えると、耐冷菌Pseudomonas Eー3の生長は阻害された。 2.DNAC存在下に、培地に飽和脂肪酸を加えると、細菌の生長が再開された。つまり、外部飽和脂肪酸が菌体内で脂肪酸不飽和化酵素の作用を受け、不飽和脂肪酸が生成されていることを意味する。 3.Pseudomonas Eー3を突然変異誘発剤(NTG)で処理して、約10,000個のコロニ-から3株の不飽和脂肪酸要求変異株を選抜することができた。 4.これらの変異株における脂肪酸不飽和化酵素の活性は、野性株と比較して極めて低いか、全く検出されなかった。 5.炭素鎖数15の飽和脂肪酸ペンタデカン酸を唯一の炭素源として培養すると、菌体内リン脂質中に、奇数炭素鎖数の不飽和脂肪酸含量が著しく増加した。それらの中の主要な不飽和脂肪酸である15:1,17:1の二重結合の位置を、化学酸化切断法で調べると、いずれも、カルボキシル末端から9位に位置していた。 以上の結果は、Pseudomonas Eー3株での不飽和脂肪酸合成は、脂肪酸不飽和化酵素の活性に依存していることを強く示唆した。
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