大麦第一葉をクロロフィル(chl)の前駆体である5ーアミノレブリン酸(ALA)で処理し、各アポタンパク質を定量したところ、集光性Chla/bタンパク質複合体(LHCII)のアポタンパク質のみ増加していた。このことは、本実験系においては、LHCIIアポタンパク質だけがChlの合成速度に対応して、その蓄積速度を変化させていることを示している。そこでChlの合成速度とアポタンパク質の蓄積の関係を調べるため、緑化組織を ^<35>Sメチオニンでパルスラベルした後、一定時間チェイスを行った。LHCIIアポタンパク質へのラベルの取り込みは、アポタンパク質を免疫沈降法によって回収し、オ-トラジオグラフィ-によって調べた。その結果、ALA処理はアポタンパク質の合成は促進しないが、そのチラコイド膜上での安定性を増加させていることが解った。このことは、Chlと結合できなかったアポタンパク質がチラコイド膜上ですばやく分解することによってChlとアポタンパク質の蓄積が調節されていることを示している。 そこでChlの結合の有無によりアポタンパク質の分解のされかたに差があるのかを調べた。LHCIIをアセトン処理することによってChlが結合していないアポタンパク質を調整し、これをTriton Xー100で可溶化したエチオプラスト膜とインキュベ-トした。基質の減少と分解産物の生成はウエスタンブロットによって調べた。その結果、Chlと結合していないアポタンパク質は、LHCIIし比べて、すばやく分解した。このことは、in vivoにおいてもChlと結合していないアポタンパク質がすばやく分解されることを示している。
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