黄化組織が光を受けるとクロロフィル(Chl)の合成がはじまる。合成されたChlはアポタンパク質に取り込まれChl-タンパク質複合体(CP)が形成されるが、この場合Chlとアポタンパク質は1対1になるように畜積しなくてならない。平成3年度までの研究において、Chlの前駆体である5-アミノレブリン酸を与えてChlの合成速度を変化させた場合、30分以上の比較的長い時間がたてばChlとアポタンパク質の比は一定になることを明らかにした。 平成4年度は、まず最初にChlとタンパク質の量比調節がChlの供給量を変化させた後短時間ではどのようになっているかを集光性Chla/bタンパク質複合体(LHCII)の場合について調ベた。その結果、10分以内の短時間においては、LHCIIアポタンパク質はChlに対して過剰に合成され、Chlの供給量とは関係がなかった。しかし、過剰なLHCIIアポタンパク質はその後すばやく分解され、30分ぐらいたつとアポタンパク質とChlの量比が1対1になった。このことは、アポタンパク質はChlに対して過剰に合成されるること、またChlと結合できなかったアポタンパク質がすばやく分解されることによって両者の量比が調節されていることを示している。このように、量比調節にはアポタンパク質の分解が重要な役割を担っていることが示唆された。つぎにLHCIIアポタンパク質の分解に関与するプロテアーゼの精製を試みた。プロテアーゼの活性は、その分解産物を抗体で検出することによって行なった。その結果、エチオプラストの膜画分からタンパク質をアセトン沈殿で回収し、それをTritonX-100で可溶化すると高いプロテアーゼ活性を持つ画分が得られることがわった。
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