研究概要 |
セルロ-ス含量の極めて少ないオオムギ突然変異系統3種を用いて、セルロ-スが何故合成されないか,および遺伝子fs_2,fs_3のあいだに何か差があるかどうかを調べた。 野外で成育させたオオムギは4月はじめから抽苔を開始するが、抽苔を開始した直後(簡間長が2cm以内)に節間を採取し、セルロ-ス量を定量した。fs_2の遺伝子をもつ於七および於七変,白瀬戸および白瀬戸変のあいだにはセルロ-ス含量に全く差がなく,この時期にはセルロ-ス合成の異常がみられないことがわかった。一方fs_3遺伝子をもつコビンカタギ4号変は正常型のコビンカタギ4号に比較してセルロ-ス含量は約1/3しかなかった。 さらに暗室で3系統およびその突然変異系統を発芽させ、セルロ-ス含量の変化を調べた。若い組織である幼葉鞘はfs_2をもつ系統ではセルロ-ス含量に全く差がなかった。またfs_3の系統では明らかに突然変異の方がセルロ-ス量が小さかった。また幼葉鞘を引きちぎり法でちぎれやすさを見た所、fs_3だけが引きちぎれやすかった。このことからfs_3はfs_2よりも早い時期にセルロ-ス含成が停止することがわかった。このことから、折れやすさの遺伝子は折れやすさを支配する遺伝子より上流の部分で制御している可能性が示された。
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