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1990 年度 実績報告書

DNAを用いたキク科ヒヨドリバナ連の分子分類学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 02640535
研究機関東京大学

研究代表者

矢原 徹一  東京大学, 理学部, 講師 (90158048)

キーワード葉緑体DNA / 分子分類学 / ヒヨドリバナ属
研究概要

キク科ヒヨドリバナ属は北アメリカ東部・東アジア・ヨ-ロッパに隔離分布する。北半球の温帯性植物に広くみられるこのような分布型は現在よりも気候が温暖であった第三紀に北極周辺地域に分布していた祖先植物相の分布域が第四紀における気候の寒冷化にともなって南下し、分断された結果生じたものと考えられている。一方ヒヨドリバナ属の近縁属の大部分は中南米の亜熱帯・熱帯地域に分布する。本研究はヒヨドリバナ属が従来の定説とは異なり、中南米に分布する祖先属から新大陸において起源し、その後旧大陸へと分布をひろげたという仮説をDNAを用いた分子分類学的方法によって検証することを目的としている。
今年度は東アジア産15種、北アメリカ産18種、およびヨ-ロッパ産1種のヒヨドリバナ属植物と、南米原産のAustroeupatorium属植物からDNAを抽出し、葉緑体DNAのプロ-ブを用いたサザンブロッティングによって制限酵素断片長多型を調べた。現在までに得られた資料によれば、ヒヨドリバナ属とAustroeupatorium属はきわめて近縁であり、後者から前者がかなり新しい時代に分化したものと考えられる。アジア産の種群は単系統であり、北米産の群から分化したと考えられる。北米産の種群には3つのグル-プがあるが、これらとアジア産の種ならびに、Austroeupaitoriumの関係を決めるためにはさらに情報量を増す必要がある。ヨ-ロッパ産の種はこれまでアジア産の種に近縁と考えられていたが、DNAのデ-タは両者に直接の系統関係がなく、北米産の種群から独立に起原したことを示唆している。
このようにDNAの資料は上記の仮説を支持するものである。次年度にさらに資料を増し、統計的検定にもとづく正確な結論を下したい。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Yahara,T.: "Evolution of agamospermous races in Boehmeria and Eupatorium" Plant Species Biology. 5. 183-196 (1990)

  • [文献書誌] Watanabe,K.,Ito,M.Yahara,T.,Sullivan,V.I.,Kawahara,T.: "Numerical analyses of karyotypic diversity in the genus Eupatorium (Compositae,Eupatoriae)" Plant Systematics and Evolution. 170. 215-228 (1990)

  • [文献書誌] Yahara,T.,Ito,M.,Watanabe,K.,Crawford,D.J.: "Very low genetic heterozygosities in sexual and agamospermous populations of Eupatorium altissimum" American Journal of Botany. 78. (1991)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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