研究概要 |
1)シダ造精器の同調的誘導系の開発 生殖器官分化の機構解析のためには、分化が同調的に誘導される系の開発が政是非とも必要である。そのために、カニクサ配偶体に同調的に造精器が分化する系の開発に取り組んだ。その結果、GA_3およびGA_4ーmethyl esterを加えた寒天培地を用いて原糸体細胞上に造精器を同調的に誘導することに成功した。また、試料のサンプリングが容易な液体培地では、GA_3により赤色光を照射することにより、ほぼ同調的な造精器分化誘導系の作出に成功した。 またカニクサでは配偶体から酵素により単離したプロトプラストを培地の浸透圧を段階的に低下させた後,ジベレリン(GA_3)を含む培地で培養した。その結果プロトプラストからの再生体にGA_3投与後3日目に90%以上の個体に造精器を誘導させることに成功した。 2)造精器形成時に特異的に出現するタンパク質の解析 カニクサ胞子をGA_3を含む培地に蒔き同調的に造精器を形成した配偶体から抽出した可溶性画分から、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法によりタンパク質の分離を試みた。その結果、10^<ー5>M GA_3を加えた培地では造精器形成とほぼ同じ時期に分子量約38,000及び69,000の新しいタンパク質のバンドの出現が確認された。 今後、2次元電気泳動、 ^<32>Sメチオニンの取り込み等により造精器分化に特異的なタンパク質の出現を確認する予定である。
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