異型胞子シダ植物のうち本年度は特に野生のサンショウモの大胞子と小胞子とを1990年秋期において採取し、無菌前葉体を培養することを試みた。検討結果として サンショウモ(Salvinia natans All.) 1.無菌処理方法ーーー大胞子と小胞子を分離する方法を改良し別々に無菌処理を行えるようにした。無菌処理は一般のシダ植物胞子で用いられるスピッツ管を用いる方法では胞子が浮遊するために殺菌処理を行うことが出来ないことと、また水出シダ植物であるために塩素による無菌処理をすばやく行うことが必要であるためにメッシュを用いて連続的に減菌ー洗浄処理を行って殺菌胞子を得ることが出来た。 2.培養法ーーー一般に用いられる25℃、約2000luxの明条件の培養法ではサンショウモの大胞子、小胞子とも発芽を全く誘導することが出来なかった。培養法を予め4℃、12時間の800luxの明暗条件で約2カ月培養したのち25℃の明条件に移して培養することにより大胞子、小胞子とも発芽を誘導することが出来た。その結果2種類の胞子からの前葉体を培養することが出来るようになり、雌性雄性のプロトプラストを単離による、本研究の目的である生殖器官分化の制御機構を細胞レベルで研究することの目度がついた。 3.シダ植物のプロトプラストを用いて顕微蛍光測光により、前葉体、胞子体の核相的比較を行うことが出来るようになった。 デンジソウ(Marsilea quadrifolia L.) 1.デンジソウ胞子体由来の前葉体を用いてプロトプラスト単離を試みた結果、胞子体直接ではほとんどプロトプラストの単離は困難であるが誘導前葉体を用いることにより多量にプロトプロストを得ることが可能となった。
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