1.服部植物研究所において、日本産の蘚類に関する文献・資料の調査を行い、多くの種の分布と種分化に関するデ-タを得た(岩月)。 2.広島大学および服部植物研究所所蔵の標本、資料をもとにして、日本産蘚類植物の学名、和名、異名、分布などの情報を含むデ-タベ-スの改訂を行った。デ-タの一部は1991年5月に印刷公表した(岩月)。 3.日本と北アメリカ東部の蘚苔植物フロラの関連について研究を行った。すなわち、日本には1200種を越す蘚類植物が記録されているが、それらの中には東アジアと北米東部にのみ隔離分布する種があり、これまで研究代表者らにより詳しく研究されてきた。今回、それらの種を詳細に再検討するとともに、近年の報告についても分類学的な特徴を研究し、種分化についても論じた。結果は平成4年度中に印刷公表される(岩月)。 4.無性芽の発芽についてのデ-タを集め、長距離散布の適否について研究中である(岩月)。 5.広島大学理学部に収蔵されている資料、および平成2年度に収集した資料をもとにして、琉球列島産の蘚類の胞子の分類学的形質を研究した。得られたデ-タを整理中である(岩月)。 6.平成4年2月に八丈島で蘚苔植物の調査を行い、多くの資料を得た。そのうち、生きた資料はイソ酵素のバンドパタ-ンを調べるため、培養中である(樋口)。 7.蘚類のハイゴケ科を中心に走査型電子顕微鏡を用いて、胞子の表面模様、〓壁、その他の分類学的に重要な形質について詳細に研究を行った。その結果、一部の属(Taxiphyllumなど)で、〓歯の表面模様が属を特徴づける重要な形質であることがわかった(樋口)。
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