研究概要 |
(1)広島大学理学部に収蔵されている資料,および平成3年度に収集した資料をもとにして,光学および電子顕微鏡を用いて,ホウオウゴケ科蘚類の〓歯の微細構造を含む形質の評価を行なった.また,これらの形質と雌雄性との関連についても研究した.その結果,亜属,および節の分類を行なう際に,これらの形質が重要であることが分かった. (2)平成4年12月に屋久島で蘚苔植物の調査,採集を行ない,多くの資料を持ち帰った.そのうち,生きた資料はイソ酵素のバンドパターンの研究にも用いた. (3)日本産のヒノキゴケ属の種分化の程度を明らかにすることを目的として,2種のポピュレーションにおけるイソ酵素の変異を調べた.材料は北海道,秋田県,広島県,鹿児島県のヒノキゴケと,広島県と鹿児島県のヒロハヒノキゴケを用いた,現在結果を整理中である. (4)熱帯地方から日本の南部にかけて分布するウシオゴケ属の選定基準種を選んだ.本属は蘚類の中で最も分類が困難な群で、今後本属の研究の発展が期待される. (5)所帯地方から日本にかけて分布するナガハシゴケ科のClastobryum属の2種の選定基準標本を選び,混乱していた両種の分類学的位置,種分化の程度などを論じた.
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