ザリガニロドプシンの一次構造を決定するために、ショウジョウバエのロドプシンにおける塩基配列の中で、各動物に共通な部分を用いて、夏型ザリガニのゲノムDNAとのハイブリダイゼ-ションを行った所、10以上のポジティブな反応が得られた。このDNAの内、3個をPCRにかけ増幅し、ベクタ-に入れ、ベクタ-を取り込ませた大腸菌を大量培養し、一次構造の解析を行った。現在までに夏型ザリガニのロドプシンの全体の80%の塩基配列が決定された。この80%の塩基配列の確認の実験をすると同時に、残りの20%の塩基配列を決定中である。今後、このDNAを用いて、冬型ザリガニに存在しているであろう他種のロドプシンの塩基配列を決定し、冬型ザリガニに固有のロドプシンの存在を証明する。 一方、アメリカ及び日本の別々のグル-プにより、MSPを用いてザリガニ視物質の吸収が測定され、夏型ザリガニのラブド-ムにおいては、530nm付近に吸収極大があることが報告された(Goldsmith & Cronin 1990及び鈴木ら私信)。また視細胞に存在する色素 粒の吸収も同様に530nmにある(鈴木ら私信)。これらのデ-タは、我々の電気生理学的方法によって得られた600nm反応極大と大きく異なる所であり、興味深い。現在再び電気生理学的方法を用いて、光学的に注意して反応極大を測定を始めた。即ち、単にこれまで注意して来た様に、個眼への入射光が個眼のレンズ系に平行に入るように注意するだけでなく、唯一の個眼のみを刺激できるように測定をする。
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