1990 年度実績報告書

メダカ孵化酵素,HCEとLCE,の腺細胞内出現とその局在性

研究課題

研究課題/領域番号	02640567
研究機関	上智大学
研究代表者	山上健次郎上智大学, 理工学部, 教授 (50011474)
研究分担者	井内一郎上智大学, 理工学部, 助教授 (10011694)
キーワード	メダカ / 孵化酵素 / 孵化 / 孵化腺 / プロテア-ゼ / タンパク質合成 / 分泌顆粒 / 細胞分化
研究概要	メダカ孵化酵素は単一の酵素ではなく、2種のプロテア-ゼ、HCEとLCE、より成る1種の酵素系であることはすでに我々が報告してきた通りである。これらの成分酵素タンパク質のそれぞれに特異性を持つポリクロンおよびモノクロン抗体をすでに作製しており、これらを用いて、発生過程において孵化腺細胞内にこれらの酵素の合成される時期をしらべ、さらに腺細胞内におけるこれら両酵素の局在をしらべるのが本研究課題における目的であった。まず、両酵素の出現のタイムコ-スをしらべる為に、各発生段階の胚のホモジェネ-トをSDSーポリアクリルアシド電気泳動により分画し、さらにそれぞれに特異的な抗体を用いた免疫ブロツテイング法によりしらべた。その結果、HCEは2日目胚において、またLCEは3日目胚においてそれぞれ認められはじめ、両者共に孵化期まで顕著な量的増加を示すが孵化後の幼生には認められない。最初に検出できる発生段階がHCEとLCEで約1日分ずれているが、HCEに比べLCEの生成される絶対量がはるかに少ないことと、抗体による検出感度の差を考えると、両者の生成が同時に起っている可能性も充分にあり得る。なお、HCE、LCEのそれぞれと同一抗原性をもつ高分子量タンパク質が胚のホモジェネ-ト内に見出され、それぞれの前駆体と思われる。一方、両酵素の腺細胞内局在性をしらべた所、両者とも同一腺細胞で作られるばかりでなく、同一分泌顆粒に貯蔵されることがわかった。すなわち、それぞれのウサギのポリクロン抗体又はハツカネズミのモノクロン抗体を1次抗体とし、ロダミンおよびFITCでラベルした2次抗体を用いて二重染色をすると、同一分泌顆粒の内部にHCEが含まれ、それをとり囲んで周囲にLCEが含まれていることがわかった。これらの内容は公表準備中である。

研究成果

(7件)

すべてその他

すべて文献書誌 (7件)

[文献書誌] Murakami,M.,I.Iuchi and K.Yamagami: "Yolk phosphoprotein metabolism during early development of the fish,Oryzias latipes" Dev.Growth Diff.32. 619-627 (1990)
[文献書誌] Masuda,K.,I.Iuchi and K.Yamagami: "Analysis of hardening of the egg envelope(chorion)of the fish,Oryzias latipes" Dev.Growth Diff.33. 75-83 (1991)
[文献書誌] Iuchi,I.,K.Masuda and K.Yamagami: "chenge in component proteins of the egg envelope (chorion)of rainbow trout during hardening" Dev.Growth Diff.33. 85-92 (1991)
[文献書誌] Yasumasu,S.,I.Iuchi and K.Yamagami: "Concurrent formation and segregated packaging in the same sectretory granule of two constituent proteases of a teleostean hatching enzyme"
[文献書誌] Yamagami,K.,S.Yasumasu and I.Iuchi: "Choriolysis by the medaka hatching enzyme,an enzyme system" Sarsia.
[文献書誌] 浜崎辰夫・井内一郎・土上健次郎: "メダカの生物学(江上・山上・嶋編)" 東京大学出版会, 315 (1990)
[文献書誌] 安増茂樹・井内一郎・山上健次郎: "メダカの生物学(江上・山上・嶋編)" 東京大学出版会, 315 (1990)

1990 年度 実績報告書

メダカ孵化酵素,HCEとLCE,の腺細胞内出現とその局在性

研究代表者

山上 健次郎 上智大学, 理工学部, 教授 (50011474)

研究成果

[文献書誌] Murakami,M.,I.Iuchi and K.Yamagami: "Yolk phosphoprotein metabolism during early development of the fish,Oryzias latipes" Dev.Growth Diff.32. 619-627 (1990)

[文献書誌] Masuda,K.,I.Iuchi and K.Yamagami: "Analysis of hardening of the egg envelope(chorion)of the fish,Oryzias latipes" Dev.Growth Diff.33. 75-83 (1991)

[文献書誌] Iuchi,I.,K.Masuda and K.Yamagami: "chenge in component proteins of the egg envelope (chorion)of rainbow trout during hardening" Dev.Growth Diff.33. 85-92 (1991)

[文献書誌] Yasumasu,S.,I.Iuchi and K.Yamagami: "Concurrent formation and segregated packaging in the same sectretory granule of two constituent proteases of a teleostean hatching enzyme"

[文献書誌] Yamagami,K.,S.Yasumasu and I.Iuchi: "Choriolysis by the medaka hatching enzyme,an enzyme system" Sarsia.

[文献書誌] 浜崎 辰夫・井内 一郎・土上 健次郎: "メダカの生物学(江上・山上・嶋 編)" 東京大学出版会, 315 (1990)

[文献書誌] 安増 茂樹・井内 一郎・山上 健次郎: "メダカの生物学(江上・山上・嶋 編)" 東京大学出版会, 315 (1990)

1990 年度実績報告書

山上健次郎上智大学, 理工学部, 教授 (50011474)

[文献書誌] 浜崎辰夫・井内一郎・土上健次郎: "メダカの生物学(江上・山上・嶋編)" 東京大学出版会, 315 (1990)

[文献書誌] 安増茂樹・井内一郎・山上健次郎: "メダカの生物学(江上・山上・嶋編)" 東京大学出版会, 315 (1990)