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1991 年度 実績報告書

アカテガニ幼生の孵化とその誘導物質の作用機構

研究課題

研究課題/領域番号 02640582
研究機関岡山大学

研究代表者

三枝 誠行  岡山大学, 教養部, 助教授 (80135962)

キーワード甲殼類(アカテガニ) / 卵の孵化 / 潮汐リズム / 卵の交換移殖 / 孵化誘導機構 / 内生リズム / 孵化過程 / 物理的刺激
研究概要

動物の生殖現象は環境の周期性と同期していることは昔からよく知られている。昆虫や魚類の産卵や多くの海産無脊椎動物の放卵では、そのタイミングは親によって決められているのは明らかであるが、多くの海産甲殼類のように、胚が親によって一定の期間保護され、胚発生からなり進行してから孵化が起こるような場合には、胚と親のどちらかによって孵化のタイミングが決定されているのかわからない。本研究はこの疑問に答えるための実験的解析を試みたものである。
材料はアカテガニの抱卵雌を用い、8房に分かれて腹部に付着している卵塊のひとつを切り、他の雌の持っている卵の房のひとつと交換した。もともと卵と担卵毛とは血液の交流はないので、移植された卵の房は親によって保育され、親に抱かれていた卵と同様に正常な孵化が起こった。
移植された卵の房の孵化の仕方は明確に2通りのパタ-ンに分かれた。すなわち、移殖後3晩以上経て両方の雌に孵化が起きたときには、移殖した卵の孵化は完全に受け入れ側の雌の孵化と同調した。また、移殖後2晩以内にどちらかの雌に孵化が起こった場合には、移殖した卵はその雌の抱いている卵の孵化には同調しなかった。この移殖された卵は2日後に孵化した。
これらの実験結果から、アカテガニの胚の孵化には丸2日間の時間が必要であること、さらにその孵化過程の“引き金"は親が引くこと、そして胚の方にもすでに備わっている内性リズムとの共同により、夜間の満潮時刻に卵の孵化が起きることが示された。
さらに、孵化過程を開始させる信号については現在研究が進行中であるが、化学的因子よりもむしろ、雌親の腹部の動きによる物理的な刺激が重要ではないか、という結果が得られつつある。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Masayuki SAIGUSA: "Phase shift of a tidal rhythm by lightーdark cycles in the semiーterrestrial crab,Sesarma pictum" Biological bulletin(USA). April. (1992)

  • [文献書誌] Masayuki SAIGUSA: "Observations of egg hatching in the terrestrial crab Sesarma haematocheir" Pacific Science(USA). July. (1992)

  • [文献書誌] Masayuki SAIGUSA: "Control of egg hatching in an estuarine terrestrial crab.I.Hatching of the eggs detached from the female" Biological bulletin(USA). June. (1992)

  • [文献書誌] Masayuki SAIGUSA: "Control of egg hatching in an estuarine terrestrial crab II.Exchange of a cluster of embryos between two females" Biological Bulletin(USA).

  • [文献書誌] Masayuki SAIGUSA: "Control of egg hatching in an estuarine terrestrial crab III.Influence of temperature on the hatching"

  • [文献書誌] Tadashi AKIYAMA,Masayuki SAIGUSA: "Seasonal emergence patterns in the intertidal midge,Clunio tsushimensis" Marine biology(Germany).

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公開日: 1993-03-16   更新日: 2016-04-21  

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