研究概要 |
1.硬骨魚10種,板鰓類2種,円口類2種の心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)様物質。ANP様免疫活性は一般に淡水魚の方が海産魚より強く、分泌果粒の数も前者の方が多い。しかし、ラジオイムノアッセイ(R/A)で測定した心房,心室,血中のANP値には,淡水魚と海産魚の間に統計的に有意な差は見出せなかった。 2.イモリの心房と心室を抗ANP血清,抗脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)血清を用いて免疫組織化学法で染めたところ、いずれも両血清に対し陽性反応を示したが,その反応の強弱の分布がANPとBNPで異なり,ANPおよびBNP様物質の心筋細胞内共存が推測された。次に,二重プロテインAーゴ-ルド法を用いて,心房,心室筋細胞内の同一果粒にANP様,BNP様免疫活性が共存することを見出した。さらに、コイ,ウシガエル,スッポン,ラットでも心房,心室内の分泌果粒にANP様、BNP様免疫活性が共存することを見出した。 3.ANPは飲水行動をラットで抑制,ウズラで促進することが,すでに知られているが、ウズラの腹腔内にBNP(5,10μg/100g体重)を注射すると,飲水が促進されることを見出した。現在,BNP脳室内注射の影響を調べている。 4.最近,構造決定されたエンドセリン(ET)は血圧調節などにおいて,ANPに対し拮抗的に働らくことが明らかにされた。そこで,脊椎動物各鋼の動物(ヌタウナギ,ドチザメ,コイ,アナゴ,ウシガエル,スッポン,ウズラ)の血中にもETが存在するかどうかをRIAで調べたところ,哺乳類の血中レベルと同程度のET様免疫活性が測定された。逆相クロマト分析により,コイ血中には,ETー1が存在する可能性が高い。また,免疫組織化学法により,メダカの神経性下垂体と尾部下垂体にET様免疫反応を見出した。
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