研究概要 |
両生類の発生過程における結合組織中の細胞構成の変化を調べるためにラテックスビ-ズ等の貧食能や細胞膜表面におけるレクチン結合性の差異から、種々の遊走性細胞の同定を行った。さらに器官形成に関与する細胞外基質の分子構成の変動を生化学的、免疫組織化学的に追求し、無尾類、有尾類の発生過程における特異性を比較することで系統進化的変遷を考える。 (1)細胞外基質の生化学的検討:高速液体クロマト(HPLC)装置を購入し、無尾両生類の脊索からプロテオグリカン(PG)を抽出しグリコサミノグリカン(GAG)の組成を調べ比較検討した。脊索のPGに含まれているGAGの組成は体部と尾部で違いがあり、湿重量のあたりのGAGの量は体部の形態形成にともなって大きく変化する。また、電気泳動法とHPLCの結果から、ウシガエルの幼生の尾部脊索に含まれているPGのGAGにはコンドロイチン4硫酸(C4S)が含まれていることが確認できた。今後、PGのコアタンパクの組成を比較検討する。 (2)細胞外基質の免疫組織化学的検討:コラ-ゲン分子種(コラ-ゲンI,III,IV,VII)抗体は市販のものを用いた。イモリ幼生の皮膚や筋中隔、軟骨の周囲の結合組織にコラ-ゲンIとIIIが局在するが、ニホンアカガエル幼生にはコラ-ゲンIが顕著であった。PGの抗体は、ウシガエル幼生尾部より抽出したPGをグリセロ-ル沈降速度遠心にかけ、PGーHの分画に分離精製したものを抗原とし、抗体を精製した。さらに、市販の抗C4S、抗コンドロイチン6硫酸(C6S)、および抗ケラタン硫酸(KS)を用いて各々の局在を調べた。我々が作成した抗PGーHはイモリやニホンアカガエルの筋中隔や脊索の周囲、軟骨の周囲の結合組織層に局在していた。これらPGの電顕的局在を追求中である。
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