研究概要 |
本研究の目的は地質温度圧力計から推定される変成岩類の形成温度圧力条件とKーAr年代やフィッション・トラック年代など閉止温度の異なる放射年代値から日高山脈の隆起時期や降起速度を明らかにし,日高山脈の隆起プロセスを検討することにある. 1.必要な岩石試料の採集を今年度は南部日高山脈の楽古岳周辺と中部日高山脈のカムイエクウチカウシ岳周辺で行ない,ジルコンのフィッション・トラック年代測定用と黒雲母・角閃石のKーAr年代測定用にそれぞれの鉱物の分離を行った. 2.一部の変成岩中について,ザクロ石・斜方輝石・菫青石・黒雲母などの各種地質温度圧力計を用いて,それらの形成条件を推定した結果,これまでの結果と矛盾しない結果をえた. 3.KーAr年代測定は当初米国テレダイン社に依頼する予定であったが,岡山理科大学蒜山研究所板谷徹丸助教授の協力をえられることになり,現在(3月)測定中である.同助教授の協力により,当初の予定よりもはるかに多くのKーAr年代測定が可能になり,来年度も行う予定である. 4.フィッション・トラック年代測定は当初は武蔵工業大学の原子炉を使用して行う予定であったが,事故のため使用不可能になった.しかし,関係者の協力により,来年度立教大学の原子炉を使用して行える見通しである.
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