研究概要 |
東北日本脊梁部およびその西縁部に、鮮新世火山岩層が多数分布することを,層位学および放射年代などによって明らかにすることができた。これらの火山岩は主としてソレアイト系列の安山岩や玄武岩,および,カルクアルカリ系列の安山岩やデイサイトより構成されている。これらの火山岩類の化学組成は、第四紀中〜後期火山岩に似た東西方向の水平変化を示すことが明らかとなった。 日本海北部の奥尻島には漸新世から鮮新世にかけて活動した火山岩類が分布している。これらの岩石学的研究を行った。その結果、鮮新世火山岩類は主としてカルクアルカリ系列の安山岩とディサィからなるが、これに少量の玄武岩が伴われる。興尻島は東北日本弧周辺では最も脊弧側に位置しているが、奥尻島の鮮新世火山岩は,脊弧側の第四紀火山岩と同程度のK_2O,Rb,Srを有いている。また,奥尻島の鮮新世玄武岩と東北日本弧の他の鮮新世玄武岩のインコンパティブル元素をMORBのそれで規格化すると,奥尻島の玄武岩は、奥尻島と同じ脊弧側に位置する久六島の玄武岩とほぼ同一のパタ-ンを示し,海溝側の鮮新世玄武岩類よりも、インコンパティブル元素に明らかに富んでいることが明らかとなった。このことは,Shuto and Yashima(1990)が本科学研究費による研究で明らかにした。東北に本弧周辺の鮮新世火山岩の化学組成の水平変化が、奥尻島の鮮新世火山岩を含めても成立することを示唆している。 さらに日本列島に分布する鮮新世火山岩層の特徴を明らかにすることができた。すなわち鮮新世に始まったとされる島弧変動に伴って火山活動が開始されていること、その活動の場は第四紀火山によって引き継がれていること、両者は互いに似ていることから、鮮新世火山活動は第四紀火山の先駆的活動として位置づけた(Yashima,et al.1992)
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