研究概要 |
1 試料採取 総計99個の定方位試料,および,放射性炭素裕代測定に用いる貝殻・珊瑚を採取した。また,ビ-チロックの磁化機構(水の浸透による磁性粒子の再配列と考えている)を実験するために,海岸の珊瑚砂を20kg採取した。採取した試料のリストを次に示す。 (1)沖永良部島 和泊町高里与和浜,30個 知名町大津勘浜,34個 (2)庵美大島 笠利町アヤマル崎 上部ビ-チロック,27個 下部ビ-チロック,8個 海岸の珊瑚砂,20Kg 2 成果 (1)前年度の試料も含めて,すべての試料の自然残留磁気(NRN)をスピナ-磁力計で測定した。その結果,今年度の宮古島・沖永良部島の試料,前年度のHeron Island,Australiaの未測定試料について,一部のNRM方向が極めてよく揃うことが判明し,交流消磁を継続している。このことは,一部のビ-チロックの残留磁気は固結時の地磁気の方向と一致していることを意味している。NRM方向の集中度は試料個数の増加によって高める古とができるので,『ビ-チロックを用いて海洋域の完新世地磁気永年変化を研究する』という根初の研究目的の基礎は確立されたと考えている。 (2)試料採取に携帯用エンジンカッタ-を開発し,実用に耐えることを実証した。これは芝刈器を改造しドライタイプのダイヤモンド回転刃をとりつけたもので,回転刃の冷却水を用いないために,水タンクと加圧ポンプが不要となり操作が簡単である。試用の結果,摩擦熱による二次的熱残留磁気の影響が無視できることを確認したので,ビ-チロックの定方位試料を能率よく採取するのに最適である。
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