これまでに南琉球弧海溝斜面より採取したピストン・コアを中心に、重要と思われる8本のコアについて酸素・炭素同位体比測定を終了した。これによって数十万年前以降の時代対比が可能となった。さらに、5本については石灰質ナンノプランクトン群集・底生有孔虫群集・火山灰・堆積物などの解析を進めた。 Marine Micropaleontologyに印刷公表した例では、一本のコアを取り扱ったのみだが、これらの総合的解析を経て、各種の時代面に整合性を認め、他のコアの解析に関して研究指針を与える結果となった。また最終氷期から現在にかけての期間に黒潮源流域がいかに変動したかを知る手掛かりを与えた。 Paleoceanographyにrevised manuscriptを送ってある論文では、ナンノプランクトンの一種が後期第四紀を通じての太陽輻射量変動の指針となることを、初めて示唆する結果を得た。同論文では、かねてより問題のあった阿多火山灰層の年代を酸素同位体比年代より95Kaとした。 石垣島沖のturbiditeピストン・コアの解析結果では、1.2万年前以降、1500年に約1回に割合で、turbidity currentが発生(つまり大規模な地震が発生)したことを示す。現在進行中の加速器質量分析計による ^<14>C年代値が出次第、国際誌に投稿する予定である。 その他にも、後期第四紀における沖縄トラフの変遷(特に炎水流入)、琉球弧のコアより見たネオテクトニクスを始め、多くの問題解決の糸口を見出している。
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